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なぜ日本に「ブラジル産アメトリン」が流通するのか?

― 世界唯一の産地ボリビアと、中国で合流する二つのルート ―

世界で唯一アメトリンを産出するボリビア・アナヒ鉱山。それでも日本では「ブラジル産」が流通する理由とは?一次インボイスと中国加工で分岐・合流する産地表記の構造を解説。

天然アメトリンは、世界でただ一か所。
ボリビア東部にあるアナヒ(アナイ)鉱山でのみ産出される。

この事実は、宝石学の世界では揺るぎない。

それにもかかわらず、日本の市場では今も
「ブラジル産アメトリン」
が当たり前のように流通している。

これは誤表示なのか。
それとも、誰も嘘をついていないのか。

その答えは、
石の産地が決まる場所が、鉱山ではない
という現実にある。


世界で唯一の産地、ボリビア・アナヒ鉱山

ボリビアのアナヒ鉱山は、天然アメトリンの唯一の産地である。
この鉱山を運営する ATG Gems が公開している資料
Gemmology Today: Ametrine – Legend of Bolivianite によれば、
https://www.atggems.com/docs/Gemmology-Today_Ametrine_Legend-of-Bolivianite.pdf
宝石品質素材の産出比率は以下の通りだ。

  • アメジスト:約44%
  • アメトリン:約33%
  • シトリン:約23%

つまり、採掘される石のうち
アメトリンは3分の1程度しか存在しない

供給量が限られているからこそ、
流通経路と表記の問題が顕在化する。


加工国が産地を決めるわけではない

よくある誤解がある。

「中国で加工されているなら、中国産では?」

しかし、中国はあくまで加工国であり、
産地(オリジン)を決定する主体ではない

中国の工房では、
ボリビア名義の石と
ブラジル名義の石が
同じラインで、同じように加工されている。

違いは、石ではない。
書類だ。


産地を決めるのは「一次インボイス」

👉画像を見てほしい、、、と言ってもAI生成には日本語が難しいイメージです。

ボリビア正規ルート
ブラジルルート は、
中国の加工段階で合流し、
そのまま日本に輸入される。

違いが生まれるのは、
中国より前、一次インボイスの段階だ。


目次

● ボリビア正規ルート

  • ボリビア業者が原石を販売
  • 所有権:ボリビア
  • 一次インボイス:Bolivia
  • 原産国表記:Bolivia

👉 地質と書類が一致する


● ブラジルルート(問題の核心)

  • ブラジル業者が原石を購入
  • 原石は未加工
  • ブラジル国内で加工なし
  • 一次インボイス:Brazil
  • 原産国表記:Brazil

👉
石はボリビアで生まれ、
国籍だけがブラジルになる


中国で起きている「産地の合流」

中国の加工工場では、

  • 同じ鉱山
  • 同じ品質
  • 同じ形状

のアメトリンが、

  • 「Bolivia」
  • 「Brazil」

という異なる産地表記で並ぶ。

中国は石の来歴を判断しない。
一次インボイスの内容を、そのまま踏襲する。

ここで産地は固定され、
日本へ届く。


日本の問屋・小売は間違っているのか?

結論から言えば、間違っていない。

  • 書類は合法
  • 表記はインボイス通り
  • 鑑別結果も「天然アメトリン」

日本の業者は、
与えられた情報を正しく扱っている

本稿が問題にしているのは、
個々の業者ではなく、
産地という概念がどこで決まるかという構造だ。


ブラジル産が消えない理由には「歴史」がある

1960年代、ボリビアは軍事政権下にあった。
この時代、再発見されたアメトリンは
軍関係者や一部業者によって
ブラジルへ密輸されていたとされる。

当時の
「アメトリン=ブラジル経由」
という認識は、
時代が変わっても完全には消えなかった。

密輸は合法取引に置き換わり、
だが
ブラジル名義で流通させる構造だけが残った


【結び】産地とは「どこで生まれたか」だけではない

アメトリンの紫と黄色の境界線は、自然の奇跡だ。
しかし、その外側には
人間が作った境界線がある。

それは国境ではない。
インボイスの一行だ。

「ブラジル産」と書かれた石を否定する必要はない。
だが、

その石が
どこで生まれ、
どこで国籍を与えられたのか

を知ることは、
宝石を扱う者、選ぶ者にとって
大きな意味を持つはずだ。

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この記事を書いた人

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